2011年1月6日木曜日

【第5回開催報告】小金井でつくる新たな伝統 澤田麻希さん(1/5)

第5回「小金井でつくる新たな伝統」
ゲストは江戸糸あやつり人形劇団「結城座」の
澤田麻希さんにお話を伺いました。
http://www.youkiza.jp/

江戸時代から375年続く劇団の「結城座」は
国記録選択無形文化財と都の無形文化財に指定され、
現在は公益財団法人となっています。

劇団を中核に公益財団法人化した背景には、
これから50年、100年の伝統芸能の未来を考え、
演劇をつくるだけでなく、普及していくことを考えていきたい
という座長の十二代目結城孫三郎さんと澤田さんをはじめ
制作部のみなさんの想いがあったそうです。

結城座は人形遣いと制作部で成り立っており、
人形の修理などは外部へ依頼しているそうです。
人形遣いは江戸写し絵も継承しており、
写し絵師としての修行も行っています。

新作と古典では台詞回しや所作がまったく違うけれども、
動かしている人形の技術は同じ。古典だけでなく新作をやることで、
新作のお客さんにも古典の魅力を伝えたいそうです。

所作や台詞を扱うかは、演目にあわせて組み合わせています。
修練は歌舞伎に似ているそうです。
一本立ちするには、10年はかかると言われる世界。
かつては内弟子制度があり、幼い頃から修練を積んで
成人する頃には舞台に立つことができたそうですが、現在では
その制度もなくなり、20歳前後の方が修行に入ってくるそうです。
生活も修行も厳しい世界、なかなか伝統を引き継ぐ人を
育成するのは難しいそうです。

澤田さんの制作のお仕事とは、出演以外なら何でも。
演目のバランス、場所やスタッフの手配、ギャラ交渉や助成申請、
広報と多岐に渡っています。

大学では西洋音楽を専攻し、ピアノを学んでいた澤田さん。
まずは日本音楽を学ぶ課程をきっかけに伝統芸能の音の世界へ
関心のもったそうです。いろんな伝統芸能を見聞きし、
4年生の秋口に募集のあった結城座へ入ることに。

制作部で入ったとしても、修行したての人形遣いと同じ、下働きから。
制作も自分の企画が通るようになるまでは10年かかるそうです。
「いつか自分の観たい芝居をつくらせてやる」という想いを沸々と秘めながら。

江戸時代には江戸五座に認定され、常打ち小屋をもっていた結城座。
明治以降は小屋をもたずに各所を転々としていたそうです。
戦後すぐに武蔵野市に移ってきたときは自宅と稽古場と事務所が
一緒にあるような場所をつくっていたそうです。

空間の縦横に特有の高さがあり、なるべく安価に使える場所。
このような条件で場所を探して15年ほど前に小金井へ移ってきたそうです。
いまは三階建ての建物を稽古場と事務所として使っています。

後継者不足は人形遣いだけでなく、制作も同じ。
チラシに募集を書いたり、工夫もしているそうです。

小金井市内では、小学校、中学校、大学の三世代に公演を見せるだけでなく、
人形使いとして修行したり、芝居をつくったりする体験を提供しています。
隠された野望は、小金井出身の人形使いを出すこと、と
また、プロでなくとも学生時代に頑張って何かをやったということを
一般の人にお披露目する機会を得ていくこと。
ぜひ、実現していきたいそうです。

結城座の活動や、制作のお仕事へかける
澤田さんの熱い想いを伺うことができました!
ありがとうございました!

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